先月末にメールでお問い合わせ下さった新後閑町にお住まいのS様,シャープの掃除機能付きエアコンのクリーニングをご希望です。型式も書いて下さいました。AY-W50SX-W,2007年末発売の,難易度の高いエアコンです。
その後のメールで,赤ちゃんがいて,作業が始まったらお昼過ぎまで外出したいそうです。こちらとしても,おそらく11時前後から始まる高圧洗浄機を使った作業中は,お客様,特に幼いお子さんがいないと思うと気が楽です。12時半はちょうどタイミングが良いです。
見せていただくと,どこまでもお手入れが行き届いたお部屋で,キレイ好きの奥様だと分かります。エアコンはリビングの広い壁面の真ん中に設置されています。理想的です。マンションなどでは露出配管されていることが多いですが,このお部屋ではモールも使っていないですし,この型式の場合,上部と左右の空間は大変ありがたいです。
ですが,汚れ程度はかなりのものが予想されます。天井面からのショット,そして大きなフルカバー化粧板が外れた状態。ナウシカの腐海みたい(失礼。この状態では,ビスの場所や分解に必要な配線経路の把握が不可能です。まずは下準備に細かく掃除機がけが求められます。
これからは構造や設計について。配線は,フルカバーに納めるために,ものすごい入り組んだ系統で結束しています。特に基盤の上部と手前は,おろちが這っているようです。色とりどりの触手が基盤ボックスを絞め殺すみたいな。
僕はこの状態を復元できる自信がなかったので,結束を切らない方針で分解しました。どうしても外す必要があったファンモーターの配線のみ,ボックス上部をこじ開けて抜き,2か所の結束を切り,ファン用配線が外れたらすぐに結束し直しました。
こうしてロボットのフレームが外れ,基盤ボックスを外せる状態になったのがこちら。
シャープお掃除エアコンの壁掛けオーバーホールは初めてでした。配管抑えが見えなかったので,簡単に外れると思ったら丈夫な金属板で4か所のビス止めでした。
設計者も迷っているらしく,近似する型式でもドレンパンが外れる設計があるのです。
それではクリーニング前後の比較を。まずは最初に外れる化粧板。フルカバーでしかも複雑な開閉機能を持つグリル(ルーバー?)の動作制御機構が張りついています。これも洗うために全部外す必要があります。弟がやってくれます。
お掃除ロボットのフレームは,本体から外れた時点でほぼ洗える状態に。
今回最大の衝撃。フィルターお掃除ロボットで,内部汚れを抑えるはずですが,現実はなにも付いていないエアコンより100倍(笑)汚れています。これを復元するには事前の準備も必要ですし,裏側からの高圧も必要ですし,時間も必要ですし,水量も必要です。
S様邸のはまだ良い方です。フィンが埋まっている場合もあります。奈良エアコン洗浄奮闘記
ファンと壁側ボディーの洗浄前後。ちなみに約30センチ張り出している室内機は,どのパーツも重く,業務用機器を洗うような気がします。
後戻りはそれほどなく復元できましたが,やはり試運転まで含めると2時間。合計5時間半かかりました。Sさんが戻っていらして,ここまでやってもらうとすれば,料金は安い,もっと払いたいくらいと言って下さいました。恐れ入ります。
1年に一度洗えばいいですかね~。嬉しいような,冷や汗が流れるような。次回はオフシーズンにと言っていただきました。そうですね,今日はいきなりの夏日,作業前は冷やして置いて下さった部屋もいまは蒸れています。
良く冷えたお茶をいただいて撤収。S様,当店へのご用命と,以前からの知り合いのように接して下さる信頼感,嬉しかったです。ありがとうございました。