箕郷町のM様邸。私どもが若いころからお世話になっているご夫婦です。先日のお掃除のときに,天井埋め込み1方向を2台,「暖かくなってから」とご注文いただきました。3月に入り,暖かい日もあるので,「いかがですか?」とお電話して,出かけないだろうという日を選んでくださいました。
病院にお出かけになる日が多いので,やりくりがあるのでしょう。それもそうですし,私どもをもてなしたい意向も持っていらっしゃるので,単純に日が決まらないのです。恐れ入ります。
お約束の9時に伺うと,「もう一台追加したいんだけど…」と,別棟のエアコンに導かれました。天埋め2台の予定で想定していた私どもとしては,果たして今日中に終えられるのかという不安がよぎります。見せていただいたのがダイキンAN22JPSK-W,2008年製です。
ダイキンは世界に誇る日本の空調機器メーカーです。アフターサービスの充実も,設置や保守に関わる技術を公開し,広めている点でもメーカーとしての姿勢に好感を持てます。が,分解クリーニングを基準に考えると,家庭用壁掛型は,ドレンパンが独立して外せないという構造上の難点があります。
これは,エアコンクリーニングでは「室内機を外して洗う」という考え方に基づいています。実際,ダイキンにクリーニングを頼むと,室内機を外して持ち帰って分解洗浄します。エアコンを使えない期間があり,料金もかさみます。
室内機を外して洗うのが理想です。制約なく分解できますし,入れ物さえあれば,パーツはもちろん,熱交換器もエコ洗剤のお風呂にしばらく漬けておくことができます。汚れの取り残しがなく,クリーニングによる除菌消臭効果を最大限引き出すことができます。
エアコンの取り付けをされている業者さんなら,外すとか取り付けるとかに抵抗はないでしょうし,さまざまな現場でのトラブルにも対応できると思います。
当店はハウスクリーニングの一環でエアコンクリーニングしていますから,積極的に「外して洗いましょう」とは言えません。通常,ドレンパン一体型のダイキンや東芝を洗う場合,提供できる最高のサービスは「壁掛オーバーホール」です。「背抜き」という方もいます。ドレンパンと一体成型の壁側の化粧板を外し,壁に残るのは熱交換器という洗い方です。
ダイキン製は,室内機取り外しを想定して作ってあるので,壁に掛けたまま分解しようとすると面倒です。「この爪どうやって外れるの?」という,難解な破損リスクとの闘いになります。ファンあるいはモーターを抜きたいと思っても出来ないこともあります。
それで今回は,「壁掛オーバーホール」を試してみることにしました。電装の基盤を外して,その後は壁側の配管抑えと,熱交換器左右の爪を外すと,ごそっと外れます。この状態になると,上下左右のルーバーモーターも,ファンの左右の固定パーツも外せるようになります。壁に残るのは熱交換器だけになり,思いっきり高圧洗浄できる体制になります。
熱交換器自体は汚れが軽いので分かりにくいですが,洗浄前後です。
外したパーツは漂白除菌洗浄。洗浄後が濡れているので比較しにくいかもしれませんが,「生き返った」という感じの洗いあがりです。
当店のエアコンクリーニング料金は高いです。ですが,ダイキンについては,メーカーに頼むか,私どもにご依頼下さるかは,検討の余地があると思います。(壁掛オーバーホール,あるいは背抜きのクリーニングは,設置状況でお請けできるかどうかが決まります。やりたくても,配管方法によっては出来ないこともあります)。
ここまでの作業は順調で,1時間半。少し希望が出てきました。Mさんご夫妻は,お昼の用意をするとお出かけになり,私どもは2階の天埋めからさせていただくことになりました。
東芝製,天井埋め込み型1方向,型式はHAS-C402F1,2000年製。分解復元はやりやすい方です。1台目は学習なので,配線の取り回しとモーター脱着で手間取りましたが,それでもお昼に呼んでいただくまでに熱交換器とパーツの洗浄は終わっていました。エアコン外観と,洗浄カバーを装着した様子。カバーがぴったりで,マスカを必要としません。
外したパーツは,あまり汚れを感じませんが,洗いあがると違いを感じます。あまり使わないそうですが,約15年使用のエアコンです。
用意してくださったお昼を頂戴し,話しが尽きない食卓で,あっという間に1時を過ぎてしまいます。
2階の復元をして試運転,異常なし。2時ごろ1階リビング機に入らせていただきます。
開いて確認すると,同じ型式でした。配線関係は,Fケーブル,化粧板モーターのコネクタ,基盤ボックス側面の2個のプラグを外します。その後ドレンパンと整流板を外せばドレンポンプと配管の温度センサーを外せるようになります。この状態で基盤ボックスを外せば,基盤ボックス内部のプラグを触る必要がありません。
リビングの熱交換器にはわずかにカビが出ていました。高圧洗浄機で50ミリありそうな分厚い熱交換器を洗います。今日はうるさいマキタです。
パーツもやはり使用感があります。ドレンパンが濡れて乾いてを繰り返した証拠です。整流板にもカビが見受けられました。
復元も順調で,試運転開始が3時半。ブレーカーを上げて部屋に戻ると,すでに動いています。リモコンに反応しません。これはリモコン受信部のディップスイッチでしょう。リモコン1に合わせると,直りました。
道具の片付けが終わってまたまたお茶を用意して下さいます。お支払いのほかに,今日もお土産付き。M様,いつも温かいお気遣いをありがとうございます。