2015年の1月にストーンケアの講習を受けて,その後資材を準備していたのですが,なかなか大理石研磨再生を受注できません。ひとえに当店の実力および宣伝不足なのですが,日本に大理石を磨く意識が浸透していないということもあると思います。日本では,例えばカーペットの歩行線が汚れることや,大理石がカサカサしていることに寛容な文化があります。当店のある群馬県の場合,ホテル,結婚式場,マンションのエントランスには大理石を使っていても,新築時の光沢を維持していることは少なくて,汚れを洗うだけのメンテナンスが行われています。
この頃は人工建材がの見た目がほとんど天然石材なので,天然大理石の光沢が落ちたから,と人工建材を張り付けられてしまうことさえあります。
大理石は磨くと美しく再生します。天然石は地球の記憶というべき財産で,人間の寿命よりはるかに長い期間使用できます。せっかく掘り出して使い始めたものなのですから,磨いて大事に使いましょう。それはエコロジーですし,磨かれた大理石は人に深い満足感を与えます。たぶん人間にはそういう感性が元々あるのだと思います。
前置きが長くて恐縮です。そんなわけで,こちらから頼み込んで磨かせてもらいました。S様のマンション玄関と廊下に敷かれた大理石の研磨再生です。玄関土間が約2㎡,上がり框を含めて廊下が約3.2㎡で合計約5㎡でした。黒系の大理石としてはネロマルキーナが有名ですが,この石はちょっと違うようです。石の名前は不明ですが,変成岩・広域変成岩系の大理石で,大理石らしい性質を持つ石だと思います。
今日はまずカスイ+アルカリで洗い,土間部分は400番,廊下部分は800番スタートでした。3か所目立つ変色があり,もう一つ一部液体による浅い変色がありました。靴で歩く部分はほとんど光沢が失われています。
写真は,東側から,西側から,南側から玄関外へのアングルで撮っています。13時に始めて17時過ぎに終わったので,外からの採光が無くなりました。また,目で見るとくっきり写っている照明が,ぼやけています。言い訳タラタラでビフォーアフター。
まずは東側から,目線とローアングルの4枚。はさんだ1枚は,変色のあった場所は別途フチオカで手当てしたという様子です。
西側から。目線とローアングル。
南側から玄関方向を見たもの。マンションですので,大理石床周りは水を嫌う素材です。玄関外はタイルカーペット。廊下の続きはフローリング。巾木と床の隙間はコーキングなし。そして300ミリ角のタイルには14インチポリッシャーは大きすぎるかも。
やはり想像しているのと実際の作業は違います。広いフロアでポリッシャーを自由に動かせる環境とも違います。おかげさまで大変良い学習になりました。S様,当店のわがままを聞き入れて下さり,ありがとうございます。
とりあえず乾燥中。