硬い題名で失礼します。当店は「大理石研磨再生と石材美観維持管理」というホームページを作りたいと思っているのです。今のホームページには「大理石研磨再生とストーンケア」というページがあるのですが,あえて全部日本語で,やりたいことを表すと「大理石研磨再生と石材美観維持管理」になるのかなと。しつこいですね。
6月半ばに,前橋市若宮町のS様から「玄関大理石研磨再生及びストーンケア」の見積もり依頼が来ました。ご住所で確認すると,会社の建物で,エントランスにきれいな石材タイルが確認できます。
次の日,ポリッシャーやダイヤモンドパッドを持参して,部分加工も想定に入れて下見に伺いました。見せてもらって,僕はまだ石種に詳しくはないのですが,御影石に分類される石だと感じました。あとでカタログを調べて「ブルーパール」ではないかと考えています。
こちらが正面玄関部分。
屋内に入るとコーティングされているのかと思う感じの光沢でピカピカです。
御影石を現場で磨くのは大変です。それで,まずは洗って実際の表情を見ることにしました。アルカリ→酸→アルカリ→水洗いをしてみました。すると,石材の表面に傷はなく,その点では屋内の石と光沢が変わりません。ですが,この石には雨で溶けだす成分が含まれているらしく,その部分の表面が幾らかへこみます。
特に一番外周に使われている石は切り方が違うので,そのへこみが目立ち,いくらか痛んだ印象を受けることが分かりました。通用口玄関で試し洗いです。
もう一つは,目地に痛みが感じられたことです。目地が傷むと石材の側面や裏側からも水分の攻撃が始まって石が傷みます。そしてエフロレッセンスの原因になりがちです。
それで,Sさんにこちらの見立てをお伝えしました。石材が御影石であるため,研磨再生は非常に大掛かりな作業になるし,それほど表面が傷んでいるとは思えないこと。それで,磨くのではなく,洗浄・コーティングをお勧めするということ。さらにお手入れより先に,目地の補修が必要だということ。
Sさんはこちらの提案をすぐに受け入れてくださり,まずは目地の補修をしますと言ってくださいました。補修が終わったらまた連絡を下さるそうです。
その後8月初めに目地の工事が終わったと連絡がありました。こちらもコート剤を仕入れておいたので,早速試し塗りに行きました。
お試しなので,通用口が良かったのですが,晴れていて石を触るとやけどしそうです。50℃を超える石には施工しないことになっているので,日陰になっている正面エントランスで試します。
石が傷んでいないので,アルカリ洗浄できれいによみがえります。写真は洗浄後にコートする位置をテーピングした様子と,一度コート剤を塗布した状態です。当然ですがテープの左側の列にコートしました。
変わっていないじゃん!!という声が聞こえそうです。そうなんです。透かして見ても変わりません。言い換えれば,もともと痛んでいないということです。
コーティング後の手触りは違います。そして撥水します。このコート剤の良さは,撥水するだけではなく,石材内部からの湿気が抜けること,抗菌作用が強力なことです。抗菌作用?これも非常に重要な性能なのです。気になる硬度は11H以上。この作用が10年ほど維持するように設計されています。お値段は当然張ります。
見た目が変わらないものに結構な金額のお見積りを出したのですが,させてもらえることになりました。そして8月は暑いので,涼しくなってから。
その後日本近海で台風の発生が続き,なんだか晴れた日がなかったような印象です。週間予報を見ていたのですが,来週火曜日が1日曇り,最高気温20度。ということで連絡して,本日本施工となりました。
作業前,洗浄後,コーティング2回の施工後です。
目地が気になった部分も,作業前,コーティング後,目地のアップ。
通用口は,コート剤を塗るといくらか濡れ色になる感触があり,作業中はかなり大きく変化を感じたのですが,写真には写りずらい変化です。最初の洗浄後の写真と比較。
1時間ぐらいでできるんじゃないかと甘く見ていたインターロッキング。ケルヒャーと屋外用ノズルではなく,マキタとエアコンノズルでやったのが間違いでした。(当店の使うエアコン洗浄ノズルが強力だということが分かってもらえると思います。このシステムで家庭用壁掛け型も洗っています)。弟が泥だらけになって洗いました。エントランスの石とのバランスで,どうしてもこの部分は洗いたかったんです。
予定通りだいたい5時間ほどの作業にまとまり,作業後を確認してもらってお支払い。恥ずかしいことに,見積書の計算が間違っていて,総額が本来より少ない金額になっていました。Sさんが検算してくださり,正しい金額で,(見積もり額より余分に)払ってくださいました。恐縮です。
10年先を考えてのメンテナンスでしたので,それまでの間に何か気になることがあれば対応したいと思います。これまで美しさを保ってきた石が,これからも美しいままでいられるように願っています。
S様,このたびは当店へのご用命をありがとうございました。大変良い経験をさせてもらいました。