3月初めに,伊勢崎市境栄にお住いのY様からメールでお問い合わせをもらいました。床のワックス剥がしを専門業者に,とお考えのようです。床材はパイン無垢材。柔らかくて,風合いの変化を楽しめる床材です。
今回お手入れを考えているのは1階の20坪ほどの床で,セルフメンテナンスでリンレイの白木用ワックスを塗ったこと,汚れたところをきれいにしたいと思ってやってみたたけれどもうまくいかなかったことなどが分かりました。本当は下見して「お試し」した方が良いのですが,片道1時間なので,写真を送ってもらいました。
写真を見ると思ったほど荒れていません。これならピア主体で洗えば本来の肌に戻せるはず,そう思って1日オーダーメイドで見積もりました。保護剤についておたずねでしたので,蜜蝋かオスモカラーのクリアー♯3262を推薦。保護剤については施主支給をお願いしました。剥離洗浄後は私どもが保護剤を塗るのではなく,ご家族で塗るのもいいですね。
ご注文時には,今日は1日雨模様の予報で,実際朝方は本格的に降っていましたが,すっかり晴れて風のあるさわやかな日になりました。床を洗う作業には最適です。
無垢床材で,艶消し塗装の白い壁面。アンティークな印象の素敵なお宅です。大まかにいうと,O型の通路の4隅にリビング,キッチン,脱衣所,書斎があるという配置です。床面はすべてパイン材。ウッドデッキや浴室には,普段おいてあるものが移動済みでした。ご協力ありがとうございます。リビングには,外には出せないテーブルやソファーなどが残っていますが,十分な広さがあるので,移動しながら洗えます。
写真では把握できなかった色むらや,抱き込み汚れがあったので,想定していた方法が通用しませんでした。まずは普段ソファーが置かれている部分(目立たない場所)で試し落としをします。
リビング南側の窓に近い部分で,何度洗ってもゼリー状のにじみが出てくるという現象に遭いました。あまり頑張って取り返しがつかないことになるのがいやだったので,3回ほど洗剤洗い,水洗いを繰り返してやめておきました。この状態が3か所ありました。乾くとこんな感じです。最後にミニサンダー+180番で磨いて目立たなくなりましたが,これはいったい何だろう。新築時はオスモカラー仕上げだったということなので,その名残でしょうか。
今回のように洗うのではなく,表面を薄く削るという方法でもリセットできるのが無垢床材の大きなメリットです。まさに新品に戻せます。ただ削る作業には大量の粉塵がつきものです。粉塵を回収する機能のある機械(あるいは工具)だと良いのですが。Yさん,もしテーブル天板を削るとしたら外に運び出してが良いと思いますよ。
午前中に終えたのがリビングの半分以下の面積でしたから,お見積り通り1日で終えられるのか心配になりました。午前の作業終了時の様子と,リビング洗い終了の写真です。午後からはやり方を変え,作った洗剤は使い切る方法にしました。45度のお湯500mL,ピア大さじすりきり1杯,過酸化水素水35%を100mLです。(もっと熱いお湯を使おうと思っていたのですが,銀ちゃんに相談したら,リスクが高いとアドバイスされました)。
温度と洗剤量は何度か試して行きついたもので,ケースバイケースです。この希釈液をごく柔らかいブラシで塗り擦りするだけで溶け始めるのが分かります。この感じが重要です。あまり時間がかかるのも困るし,溶けないものをブラシの力で落とそうとすると肌が痛むからです。
南側の廊下から仕上がったリビングを見るとこんな感じです。Yさんも,こんなにきれいになると思っていなかった,と言ってくださいました。
キッチン流し台の足元。
書斎の床。
テレビ台の上に事前にご購入済みの蜜蝋1L缶が置いてありました。「早く仕上がったら塗ってみましょうね」なんて始めましたが,ワックス剥がしで時間が来てしまいました。蜜蝋を塗る作業は,「とにかく薄くのばす」だけ心がければよいので,誰でもできます。20坪はかなりの面積ですが,頑張ってくださいね。
奥様には,「新築の時みたい」と言ってもらい,Yさんには「次は2階も」とうれしい言葉を頂戴しました。Y様,このたびは当店へのご用命をありがとうございました。たびたび飲み物のお気遣いもありがとうございました。