先日に引き続き,H様邸の浴室に行ってきました。お掃除するというより,お手入れするというほうが近い気がします。
今日はあいにくの雨。石材のお手入れでは,乾いた時の表情を見たいので,通常の順序としては逆になりますが,床から洗いました。洗い場床に使われているのはさび御影石で,ジェットポリッシュ仕上げというのでしょうか,細かい凹凸があります。この仕上げは裸足に刺激があるほどではないけれど,滑りにくいです。当然スクイジーを使うことはできません。吸水バキュームを持ち込みます。
定石どおりに,アルカリ洗浄,酸洗浄と進め,最後に中和を兼ねて漂白剤で洗いました。全体に汚れている感じはなかったのですが,アルカリの時も酸の時も灰汁のようなものが浮いて,洗浄作用が感じられます。目で見た感じとしては,なんとなく赤みが感じられたものが,本来の均一な象牙色に戻ったと思います。
洗浄前の写真で,手前の石が白っぽく感じられると思います。Hさんのお話では,排水溝への傾斜が足りなかったので,敷き直したそうです。天然石ですから,ロットが違えばいくらか色が変わるでしょう。
写真は洗浄前後なのですが,洗浄後の場所が違う上に乾いていないので,比較になりませんね。失礼しました。お昼休憩後はいったん乾いたのですが,帰る前に撮ったときは乾燥が間に合いませんでした。
Hさんから特にご要望があったのは,板張りの壁面。ヒノキが以前より白っぽくなったので,あまり目立たなくなった気がしますが,水が当たった場所は色が変わっています。主に過酸化水素水で漂白して均一に戻します。
十和田石の浴槽にはどうしてもエフロレッセンスが発生します。排水溝にステンレス部品があるので,それにいつも目配りしながら酸で溶かします。エフロを含め,スケールの蓄積は,あきらめて白いまま使われていることもありますね。定期的にお手入れすれば,元の風合いを保てます。
先回も撮った部分ですが,さらに手を入れたということで。
シャワーのしぶきが飛ぶ部分なので,強烈なウロコができています。ポリッシャーだけでは力不足だったので,その前にスクレ―ピングしました。
キレイに使われていますが,ちょっと手を入れてピカピカに。このカランからお湯の出る感じは気持ちいいです。
時間があったらということで,手を入れた玄関の床。油が染みてしまったそうです。洗剤を使ったら広がったとのこと。これに使うのは,オイルステインリムーバーです。もっと温める必要があったのかもしれません。2回に分けて都合4時間ほど置いたのですが,抜け切りませんでした。鉄平石のち密さもあるのかもしれません。Hさんは目立たなくなったので良いと言って下さいました。
浴室に二人がかりで丸1日かけています。力不足で,まだまだ手が届かない部分があります。でも,無理せずに(傷を入れずに)お手入れしておけば,また挑戦できます。Hさんが「またお願いします」と言って下さいました。
天然木材,本磨きやバーナー仕上げの石材,ガラス面など。たくさんの要素が詰まった浴室です。大変勉強になります。H様,毎度ありがとうございます。