中尾町にお住いのT様から,お問合せをもらいました。「築20年の戸建て浴室のクリーニング依頼を考えております。仕様の概略ですが,ホーローバスタブ(イタリア製),腰壁大理石,その他壁・天井はひのき板張りです」。
これは下見が必要なケースです。Tさんがおっしゃるには,家を建てるときに,建築やさんと趣向を凝らして作ってしまったそうです。しまったというのは,天然の材料を使うと管理が難しいので,今となっては,普通のシステムバスに替えようかと思うぐらいなんだそうです。
まず目に入るのはヒノキ板の黒ずみ。またホーロー浴槽の着色。どちらも試し落とししてみます。どこでも良いと許可が出たので,シャワーの水が当たる壁面を漂白。それとホーローも酸を塗って,樹脂ヘラでケレンしましたが,かなり厚みのある付着が感じられます。ヒノキは本来の色と光沢が戻るのですが,浸透したカビのシミは抜けません。
壁と天井の漂白,換気扇,窓やドアのお手入れ,床の洗浄,浴槽の着色のお手入れ,浴槽周りのコーキング打ち直しなどを含めて1日いただくことにしました。
お手入れする日まで時間があったので,Tさんの申し出で,先行お手入れしてもらいました。浴槽の着色部分にBBクリーナーを塗って時間を置いてもらい,樹脂ヘラでケレンしてもらう,という本格的なお手入れです。実際やって下さったのですが,びくともしなかったそうです。
そんなわけで本日の作業結果。撃沈しました。
試し落としとは違い,室内の天壁全体となると,過酸化水素水の蒸発は粘膜への刺激が強く,耐え難いものになります。学習したのは,アンモニアが多いほど色が抜けるということです。ただ,腐食性と体への負担が大きいので,落ちるからと言って量を増やすのは難しいです。天井付近のお手入れ前後。
通常の浴室と変わらない設備については,いつも通りできました。
ホーロー浴槽は,恐る恐る刃を入れてみると,削れます。たぶん,水位下のホーロー塗装がふやけていて?,傷んだ層を削り落とした感じになったのだと思います。午後はこれにかかりきりでした。刃物を使いましたので,浴槽表面はかなり傷が入りました。これも別途手当てが必要です。当然コーキングまで手が回りませんでした。後日仕上げます。
ヒノキ板の漂白がうまく行かなかったこと,ホーロー浴槽の状態について判断が甘かったこと。思った通りになりませんでした。今後の教訓とさせていただきます。T様,また来週お願いします。
蛇足ですが,次の日鏡を見て,茶髪とまでは言いませんが,髪の毛の色が変わったのを感じました。美容室に行かなくても,過酸化水素水の蒸発をを浴びれば脱色するのでしょう。なんと言ったらいいのかわかりませんが,カスイの洗礼を受けた感じがします。