エアコンクリーニング4台
今月初めにメールでお問い合わせをいただきました。上小塙町K様から,家庭用エアコン4台のクリーニングをお願いしたいというお話です。当店は家庭用壁掛けエアコンを3種類に分類しております。普通機,換気機能付き,フィルター自動掃除機能付きです。料金がそれぞれ違います。
お返事で,型式を教えて下さいとお願いしたら,正確に調べて下さいました。すべてナショナルです。CS-XE503A2,CS-E363A2×2,CS-H223Aです。検索するとちょうど10年前の機種で,空気清浄機能,イオン発生機能などが付いていますが,換気機能はありません。グリルのデザインはあまり見ないタイプですね。
普通機4台でお見積り,午前9時から午後4時ごろまでの作業予想をお伝えし,ご希望日で1日空いている日に決定しました。
上小塙町はご近所です。Kさんは普段はエアコンの下にある家具を移動して待っていて下さいました。こちらの動線を考えて,リビングの掃きだしから出入りして下さいとも。1台目はその掃き出しの上にある室内機から。
うーん,右側が壁に近接設置されています。左側に余裕はあるので,配管を露出させたくなかった,同時にどちらかをぴったりつけるのが美しいと感じている電気屋さんだったのでしょう。ついでにここで書かせていただくと,ドレンパイプに接着剤も使ってありました。メーカーのビス止めもどうかと思っているくらいですが,エアコンクリーニングのことも心の片隅に置いて施工してほしいです。
さてリビングのCS-XE503A2ですが,内部設計が東芝みたいでした。ドレンパンに載せている前基盤(LED関係),左に伸びたモーター配線,大きな電気式空気清浄セルと取り付け枠,右基盤がいくつかの部分に分割してしまう感じ,でも1個のビスで固定しているところなど。ファンモーターのプラグは右を向いた基盤の奥の方のソケットに接続されていました。
そんなわけで,分解にかなり時間がかかりました。出てきたファンは羽の形が分からないほど白い埃の塊が張り付いています。ドレンパンの底面もヌルヌルしています。「エアコン洗浄スプレー症候群」です。Kさんは1度に限らず何度かスプレー洗浄されたのだとか。リビングのエアコンは使用頻度が高いため一番重症でしたが,4台すべてにスプレーの形跡がありました。
エアコン洗浄スプレーはおススメできません。なぜなら,洗浄成分をすすげないからです。ご家庭でできるエアコンのお手入れは,冷房で使用した後の内部乾燥,そしてフィルターの定期的なお掃除です。それでも汚れが気になる,ニオイがするなどの症状が出たら,プロの手で内部洗浄することをおススメいたします。
そして,やっと涼しくなりました。お客様もクリーニングする私どもも,エアコンクリーニングを汗だくで耐える必要がありません。
冷房オフシーズンのエアコンクリーニング,おススメです。
前置きが長くなりましたが,クリーニングした順番に写真を掲載します。リビングのエアコン。
出てきたファンやパーツの汚れをご覧になっていたKさんは,洗い終わったパーツを見て新品みたいになるんですね!とおっしゃいます。あれだけ汚れていると落ちないんじゃないかと感じておられたようです。熱交換器の方も小さなカスが出なくなるまですすぎましたよ。
狭い場所での復元で時間がかかりましたが,組みたて完了。動作は完璧,でもしかし…音が違う。ファンが風を切る音だけでなく,あの「モー」という音が入ります。この時点で3時間たっていたので,残り3台のクリーニングを先に済ませて,その後(あるいは後日)修正させていただくことにしました。
残り3台は2階の寝室にそれぞれ設置されていました。良かったのは右側が空いていたこと。左側は壁近接の設置でしたが,基盤のプラグが自由に触れる感じは非常に楽です。CS-E363A2の2台。リビングのと内部はほぼ同じ構成で,同じ日に類似機種を複数台扱うと学習になってありがたいです。
南西のお部屋
南東のお部屋
そしてイオン発生のみで電気式空気清浄は付いていない北東のお部屋のエアコン。興味深かったのは隠ぺい配管なのに右から配管してあったこと。どうやって接続したのかなあ。窓の位置と設置場所の関係で隠ぺいする必要があったのは分かるけど,これって室内機を更新する時困るでしょうね。
熱交換器の右側が異様な汚れ具合で,かなり念入りに洗いました。
最後に今日の疑問点?リビング設置のCS-XE503A2のリモコンには「酸素」というボタンがあったので,その関係かと思うのですが,室内機に黒いボックス,黒いビニールパイプを使って室外機までつながっている謎の配管がありました。黒いボックスは分解して見ると電気的な部品はなく,言ってみればパイプがつながっているだけでした。これは何だろう。
ついでに設置・設計についての主張。何のことか分かりにくいですが,左はエアコンは右側に余裕を持って設置してほしいということです。左は,ナショナルの型式によってはファンモーターは位置の正確な復元が必要で,それがシビアだということ。位置合わせの目印が必要だと思います。(僕はマジックで書いた),あるいはモーター抑えのパーツの設計を見直すか。1台目の異音は,(外したときにそうだったと思ったので)この接続部分を正面に向けて復元しました。これがモーターの振動を抑えのパーツに伝えてしまっているのだと思います。
4台洗い終わったのが5時20分。大変お待たせしました。リビング機の修正は,後日伺うことにさせていただきました。ご不便をおかけします。Kさんは「お茶も出せなかったので」と袋にまとめたお土産を用意してくださいました。僕たち家族のことを考えて選んで下さった品々と思います。お気遣いありがとうございます。
完了まで今しばらくお待ちください。
はじめまして。素人ですが分解状態の画像が多く、大変参考になります。冷媒回路だけ残して全部外してしまうとは、お掃除も進化するのですね。
04年モデルを当時購入検討した私のわかる範囲で「酸素」についてお伝えします。
松下と東芝(ほかにもあったかもしれません)は、酸素をより多く通すフィルターを用い酸素濃度を上げた空気を室内に導入する機能がありました。東芝はNDRXシリーズに搭載され、室外機の上部にそのユニットがあり、エアコン配管とともに室内に引き込んでいました(冷媒2本、換気、排水、酸素の計5本の配管)。この機能は04年のみで翌年のモデルには搭載されませんでした。以前東芝の人と話す機会があり、酸素機能は商売としてはかなり失敗だったとのことでした。
実はNDRXユーザーです。RAS-406NDRのページは大変参考になりました。上下と左右の風向調整板を外し、内部のファンを見て絶望していたところでした。カーテンボックスと壁に挟まれ、左右の余裕が数センチしかないのです。配管は本体真後ろの穴から室外機につながっています。これも隠蔽配管なのかもしれません。
最後にお願いです。ブログタイトルにエアコンクリーニングの時は「(メーカー名)」を付加していただけると検索性があがります。こちらの勝手なお願いですが、よろしくお願いいたします。
NDRXさん,コメントありがとうございます。
酸素追加機能の概要が良く分かりました。情報ありがとうございます。フィルターお掃除機能搭載前は,各社でそれ以外の様々な付加機能を競っていたのでしょうね。それにしてもナショナルなのに東芝みたいと思ったモデルですので,酸素機能も同時期だったとは,興味深いです。15年ぐらい前の天井埋めエアコンなどでは,ナショナルとダイキンが同じものを使っているように思えることがあります。
>上下と左右の風向調整板を外し
左右はちょっとコツが要りますよね。1枚だけ抜けるときや,はまり具合がきつくて難儀することもありますし。東芝の場合は基盤上のプラグが正面を向いているので,右側は空いていなくても抜き差しできます。ですが,ファンを抜くには左側に室内機幅の8割ぐらいの空間が必要です。モーターは右側が数センチ空いていれば取り出せるでしょう。壁掛けオーバーホールは,露出配管か,左下からの配管だと可能です。一般的に行われている配管方法(右下から壁を貫通して外に出ている,室内には配管は見えない)の場合は遊びが少なくて難しいです。
ご存じだと思いますが,当店が隠ぺい配管と言っているのは,壁に入った配管が室外機付近までしばらく壁の中を通っている場合です。通常の壁に対する隠ぺい配管の場合は必ず左下から抜けています。ややこしくなりますが,隠ぺいではないけど左下から抜けていることもあるのです。個人的な主張ですが僕は,隠ぺいでも隠ぺいでなくとも,左下から外へという配管方法を推奨しています。この方法だと,室内機はずっと購入時の姿を保ちます。
検索の件ですが,メーカー名付加を心掛けてみます。今は記事内に型式を書くようにしているのですが,検索では全く同じものでないとヒットしないという難を感じています。当ブログを読んで下さる方が使いやすいように改善したいです。ただタイトルはほかにも要素があるので,必ずとは約束できません。よろしくお願いいたします。