こんなスタッフで運営しています
右が店長と妻です。左が弟夫婦です。近所の剣崎浄水場で撮りました。後ろに見えるのは「裾野は長し赤城山です。(出 上毛かるた)
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剣崎浄水場は百歳を超えて現役
高崎市の水道事業は,1907年(明治40年)9月に水道敷設が認可されたことに始まり,3年後の1910年(明治43年)給水開始しました。
水道が引かれたのは群馬県内では初めて,全国で20番目でした。
水道創設当時に建設された剣崎浄水場は現在も稼動しています。
自然の地形の高低差を利用して水がゆっくりと流れる構造で,時間をかけて水源の烏川(からすがわ)の水から飲み水を作っています。
また,ここでは全国的にも珍しい「緩速ろ過」と呼ばれる浄水方式を採用しています。
緩速ろ過とは薬品類を一切使わない浄水方式で「生物ろ過」と「砂ろ過」を組み合わせています。
「生物ろ過」は砂の表面に藻を繁殖させて,藻の中に住む微生物の作用で有害な菌類を取り除く仕組みです。「砂ろ過」は厚い砂の層の下に細かい石,そして大きな石の層を作り,不純物を濾していく仕組みです。
浄水場の「ろ過池」はプールのように見えますが,断面で考えると,上から下に向かって水,藻に付いた微生物膜,砂の層,石の層となっています。
緩速ろ過を採用している浄水場は大変少ないのですが,そのエコロジカルな取り組みが今になって見直されています。
そんな経緯も含めて剣崎浄水場は「日本一おいしい水道水」を作る浄水場としてテレビなどで紹介されます。
市の催しで見学させてもらったときから,店長の僕は剣崎浄水場のファンです。長い導水路に使われているのは自然石を加工したU字溝です。沈殿池やろ過池も自然石を加工して積んだもので,知恵と力を惜しまない明治の人たちがしのばれます。池の側面は傾斜して作られています。曲線ではありませんが,すり鉢状といえばイメージしやすいと思います。これによって対流が生まれるので,水がよどまないのです。剣崎浄水場には一つだけコンクリート製でプール型の沈殿地がありますが,側面が垂直なので空気を送る装置が設置されています。技術は進歩しているものというイメージがありますが,そうとは限りません。
剣崎町に住んでいたころ,家の脇に絶えず水の流れる水路がありました。剣崎浄水場の余剰水です。家では配管を通って来た有料の水を使っているわけですが,考えてみれば,上水道品質の水が,すぐ横を通り過ぎて(捨てられて)いたわけです。
剣崎浄水場の隣に,同じ緩速ろ過方式で規模の大きい若田浄水場がありますが,これはキリンビールの要請で建設されたそうです。こちらはいわゆる人工的なプールが並んでいる感じです。薬品を使ったり,ろ過用の砂を替えたりすると,キリンビールから,「水がまずくなった」とクレームが来るだけでなく,水道料金も払ってくれなかったとか。今は味を厳しくチェックしてくれるキリンビールが移転してしまいました。残念。
若田浄水場には八幡霊園が併設されているので,フェンス越しに浄水場の様子をいつでも見ることができます。たいていどこかのろ過地の砂を交換しています。見ると分かりますが,それはそれは重労働です。もしあの作業は不要で,かえって水の味を悪くしていて,高額の費用がかかっているとしたら・・・。その費用を使って,小規模でもこのろ過の技術をローカルな場所に設置したり,発展途上国に設置する方が夢がありますよね。高崎市発,「電気も薬も使わずに,キレイでおいしい水を作ろう!」。そんなプロジェクトが動き出したら夢がありますね。
それにしても,このすぐれた施設の水にも,給水で塩素が添加されるそうです。聞きかじりの知識を総合すると,塩素を加えなくても,剣崎浄水場の水は安全でおいしいのではないかと思っています。